「新たな領域に最前線でチャレンジし続ける」
―世界から日本へ広げるビジネスイノベーション
NTTデータビジネスブレインズ
硝子ソリューション事業部
課長 勝城 啓之
突然のGlobal化で厳しい部分もあった中、どのように乗り越えて現在の活躍へとつながったのか―――
外販という新たな挑戦へ結びついた理由と今後の展望まで、勝城課長に熱く語って頂きます!
ー勝城課長が、事業におけるターニングポイントだと感じる点は何ですか?
創業以来30年以上に渡って、日本板硝子株式会社(以下「NSG社」という)およびNSGグループ各社の情報システムの構築及び運用サービスを提供していましたが、NSG社の2007年からの経営グローバル化のなかで、NSG社のグローバル情報システムチームの一翼を担って、世界3拠点24時間の運用サポート体制 "Follow the Sun" や、グローバル開発ブロジェクトに参画するようになってきています。
よって振り返るとターニングポイントは2007年のNSG社の経営グローバル化とみています。
私自身、2006年当時は親会社のNTTデータのERPプロジェクトに従事していましたが
その流れでNSGグループのGlobalシステムを日本国内に導入するプロジェクトが立ち上がり、ディレクターはデンマーク人、各プロジェクトリーダはイギリス人やドイツ人、お客様は日本人という構成で取り組んでいました。海外の協力会社を含めて、総勢40-50名くらいだったと記憶しております。自身としてはいくつかの領域をリードしつつ要件定義、設計しながら日本国内のお客様とGlobalメンバの橋渡しといった役割も担っていました。
-Global化により変化したこと、苦労したことを教えて下さい。
やっぱり英語です。お客様は日本人でしたがGlobal化により海外のメンバとのやり取りはすべて英語になりましたので最初は戸惑いもありましたが、社内の英語教育カリキュラムを利用し駅前留学でレベルアップを図っていました。最初はカタコトだったのですが度重なる海外出張で重要なタスクをやり遂げる必要がありそのプレッシャーからか文法は間違ってもよいのでとにかく伝える熱意をもって英語を話すことにより、どんどん上達していったと思います。
あとはGlobalと日本の考え方が異なる点です。
日本は100点を目指すため考えられるすべてのリスクを考慮し準備を進める。テストについても様々な観点でテストケースを考え、膨大な証跡を残す。Globalはビジネスクリティカル※3部分のみリスクを考慮し、まずはシステムを導入する。問題や課題はシステム稼働後に対応すればよいという考え方。
そのため、最初はなかなかその理由がわからずに「なんでやねん!」という印象がありつつ進めていたと思います。
システム導入の方法は日本とGlobalは変わらないのですが日本は100点、Globalは80点を目指すというのは今でもポイントにしています。
間違えてはいけないのはシステム本番化を軸にすると日本は準備で時間をかけて本番化時に100点を目指すやり方。Globalは準備はそこそこにまずはやってみて本番化後に100点を目指す流れです。
ゴールは同じになるのでどちらがよいかどうかはいまだにわからないですが昨今のビジネスチェンジへのスピード感といった面ではGlobalのやり方がよいかなとも思いますが、一方で品質に重きを置く日本のやり方も良いので、日本の良い部分とGlobalの良い部分を合わせたハイブリッドなやり方ができればと日々の運営に対して意識して役立てています。
※3・・・会社の経済損失や信用失墜など、失われると危機的な影響があるもののこと。
-これらの課題について、どのように乗り越えたのですか?
正直言うと最初はGlobalのやり方に反発心はありました。
大人げないですが「I can’t understand your way at all!(あなたのやり方が理解できない!)
」を繰り返していたと思います。とんでもない日本人だなと思われていたかもです。(笑)
ただプロジェクトを推進する中で、Globalメンバは日本の文化を受容し、尊重してくれていました。日本を知るための1つに相撲を観戦したりしていたようです。色々な国の方がいる中では相手のパーソナリティや文化を受け入れるのは非常に重要なファクターであると気が付きました。
そのようなことからGlobalに対応するため以下を身に付け乗り越えたと思います。
1.Globalでは英語(ドイツ語といった多言語もできれば尚良い)でコミュニケーションできる。ただ中学レベルでも伝える熱意があれば大丈夫だと思います。
2.自分の意見やリクエストを積極的に伝える力や意見に対する根拠と具体例も添えるようなロジカル表現ができる。日本人は行間を読むとか阿吽の呼吸とかを美徳としておりますがGlobalにはほぼ伝わらなかったです。(笑) なので特に主語と動詞は気を付けていました。
3.プレゼンテーション力。Globalのみなさんは幼少期から自分の意見を多くの方に話すというアウトプットスキルが非常に高いです。日本はどちらかというと知識を身に付けるといったインプットスキルが重視されていたと思いますのでGlobalメンバにレビューを求めながら自分のプレゼンテーション力向上に努めていました。
4.異文化を受容すること。これは先ほどお話した内容になりますが受容するだけではなく尊重することも大事かなと思います。プロジェクトのGlobalメンバの出身国であるデンマークやイギリス、ドイツの文化や歴史、教育方針、宗教など色々な本を読み漁りインプットしました。
5. 私のアイデンティティとしての日本文化を理解する。
実はこれが一番重要で4の異文化を受容して「その通りやな」ではなく、日本ではこうだ。と説明できることが重要だとわかりました。「なぜ日本人は正月に神社に初詣にいくのか?」と聞かれたことがあるのですがGlobalメンバは「相手の文化を受容したい」と考えているため「日本ではどうなのか」、「なんで日本人はそうするのか」をよく聞いてきます。自身のアイデンティティを支える文化をよく理解しておく必要があると思います。Globalのことをリスペクトし、文化を理解、合わせて自分のアイデンティティである日本文化を伝え自分が何者かを知ってもらえることで意思疎通のスピードや質も向上したと思います。
-苦難も多くあった中で、嬉しかったエピソードを教えて下さい。
自身が設計した仕様についてドイツの開発メンバ達になかなか伝わらずデンマーク人のディレクターにかけあってたびたびドイツの開発会社と日本を往復し仕様説明、実装、テスト、夜はドイツビールをドイツメンバと楽しむということを繰返して、結果完成したことです。
完成後はめちゃめちゃドイツビールを飲んだと思います。帰国後すぐにデンマーク人のディレクターに膨大なレポートを提出しました。いつもはめちゃめちゃ厳しくて褒められたことはなかったのですが「Good progress!(よくやった!)」とすぐに1行のメールがきました。たったの1行ですが私のキャリアのターニングポイントになった1文でもありました。
帰国した翌日に妹の結婚式があったのでよく覚えています。(笑)
-外販に挑戦することになったきっかけは何ですか?
Global化への推進もひと段落ついたのですが、日本国内を見ると「これからGlobal化」を目標に進めているが、我々が最初戸惑った点と同じで、なかなか思うように進んでいないお客様やIT企業がたくさんありました。もちろん相談もあったと思います。
またNSG社に新たな発想や新技術の提案などに関して、外の仕事をすることによりNSG社ではなかなか経験できない技術や方法を学ぶことで最終的にはNSG社に還元する、つまりITをトリガーにより良いビジネスを進められるように提案できるのではと思ったのがきっかけです。
-(NSG社、NTTデータ含め)お客様に期待されているポイントについて教えて下さい。
NSG社からは安定したシステムの稼働は当たり前に期待されていますが、VUCA時代※4である昨今としてはビジネスチェンジをこれまで以上に柔軟且つ、スピーディに求められていますので我々としては今まで以上にスピード感持って付加価値のある提案、ソリューション提供を期待されているのが現状だと思います。
※4・・・変動が激しく不確実な未来や、予測できないような複雑な問題、解決策が曖昧で正解が1つとは限らない状況など、目まぐるしくかたちを変える現代社会を示した言葉
一方NTTデータについてはNSG社で培った製造業のノウハウやGlobalでの経験をNTTデータグループ各社と連携し、お客様に付加価値提供を期待されていると思います。
NTTデータグループ各社でそれぞれの強みを活かし、お客様に総合力で提案、ソリューション提供するという意味です。昨今のメンバの取り組み結果でNTTデータグループにおける当社の存在感が各段に向上してきています。メンバのみなさんに感謝です。
-今後の課題やグループでの展望
正直、今までは目に見えるお客様の変化やリクエストによってある意味受け身での提案が多かったかなと思います。VUCA時代つまり先行きが不透明で、将来の予測が困難な中、お客様にとって価値のあるソリューションを提供する必要があると思いますがなかなかできていないのが現状です。
我々だけではなかなか難しい部分はNTTデータ、NTTデータグループと協力しながら総合力でお客様に提案、ソリューション提案をスピーディにしていくのが急務だと思っています。
もちろん我々自身も数年後について仮説を立てどんな方向感になったとしても柔軟且つ、スピーディに対応できるように目的を持ってメンバのスキル底上げをはじめとした「準備」をしていくのがさらに重要かと思います。
-管理職として、日々心掛けていることについて教えて下さい。
Global化の時、相手の文化やパーソナリティをまずは受け入れることを学びました。
それはGlobalに特化した話ではなく、当社のSAPグループのメンバに対しても当てはまります。
管理職としては「メンバの文化やパーソナリティ」をまず受け入れて、とにかくまずは話を聞くという点は心がけています。
またメンバそれぞれ強みは異なりますし、思い描くキャリアプランも違います。
事業方針やグループ方針に従いながら各メンバのスキルが活かせる、もしくは成長できるところは何かを
常に考えながら、何のために今の作業を実施しているのか理由付けをしています。
ー部下への感謝や期待はありますか。
感謝しかありません。
お客様の変化が多い中ですがスピード感持って対応いただいております。
新たな技術や方式のトレーニング、英語力向上など不確かな数年先を見据えた取り組みを進めていますが真摯に受け止め取り組んでいただいている結果、色々な提案の要素ができてきております。
変化に柔軟に対応できるには経験だけではなく、「準備」が特に必要だと思います。
管理職としては数年後の不確かな未来について仮説を立てながら戦略立案をしますので
みなさんはそれに沿いながら日々の業務での「経験」と「準備」を進めていっていただければと思います。
もちろん未来に向けてご自身の戦略や思いがあればどんどん提案いただけければとも思います。
―貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
↓15年以上前に行われたGlobal化について、完了当時の勝城課長のお話はこちらから閲覧出来ます!↓
滋賀県長浜市 琵琶湖の近く、焼鯖そうめんで有名なところです。
琵琶湖と共に成長してきたことで、穏やかな心を手に入れました。(笑)
趣味は旅行と虎党※2です。特に海外は新たな発見が多く、危険なところほど楽しいです。特技は中学、高校はテニス部、大学はアーチェリー部だったので個人プレーは得意です。仕事ではプレゼンテーションと戦略立案が得意というか好きです。(まわりがどう思っているかは知りません)※2・・・阪神タイガース(プロ野球)のファン
1999年、就活超氷河期に入社し、営業をメインに開発・運用保守まで幅広く担当。
Webアプリケーションの検討提案から開発まで行った後、2006年からはERPシステム※1のプロジェクトに参画し、イギリス・ドイツ・日本を飛び回り、Global化の基盤作りに尽力しました。
現在は、SAPグループにてチームの取りまとめを行いつつ、Globalだけでなく、国内の外販活動にも力を入れています。
※1・・・企業の持つ資源=「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を一か所に集めて管理し、有効活用するシステム
元気だけが取り柄の関西人です。
マイナスな要素もプラスに捉えるとこができるお気軽なところです。
失敗しても「これはプラス要素」と考えるのであまり落ち込まない。
経営学部だったこともあり、就職活動では「お金を持っているのが一番強い」と考え銀行に就職する予定だったのですが、大学の友人に付き添いを頼まれ、当社も参加する合同説明会に行きました。
そこで「ITはいわば0次産業。どんな業界でも相手にできる、不況無し」と言われ、「たしかにその通りだ」と思ってお金よりITを優先したと思います。